時代劇ファン? そうでござるよ

いまちょっと時代劇が来ているらしいのだ。
時代劇といっても、いささか広く深こうござんす(よね)
劇場公開作品、TVシリーズ、舞台・演劇、髷つきの歴史モノ、チャンバラ活劇…
一緒くたにしてしまったら、せっかく来てるのに勿体ない、ここはちゃんと考察分析せなあかんのとちゃう?とつい思うのだ。

まず、おいらの大好きなテレビシリーズを幾つか書き留めておきたい。
本格時代劇だと、三匹の侍・眠狂四郎・木枯し紋次郎・必殺シリーズ(特に仕置人)、破天荒時代劇の傑作なら『天下御免』。これらが、私が愛したTV時代劇シリーズだ。

『三匹の侍』は、1963年(S38)から1969年(S44)にかけてフジテレビ系列で毎週木曜日20時から20時56分に放映され、最高視聴率は42パーセントを記録したという。6シリーズ・全157話の大ヒットテレビ時代劇だ。
当時フジテレビのディレクターだった五社英雄さんが原作・プロデューサー・演出と大車輪の活躍で一気に名を上げた作品で、五社さんを知ったのも、脚本家の柴英三郎さんに注目し始めたのも本作からだった。

驚くのは、第3シリーズまでの制作体制。
当時はVTR装置の普及始まりの時代。特にテープ代が高かったので、生放送を基本に一部モノクロフィルムおよびVTR併用という形態で放送されていたそうである。
そうまでして、番組編成に時代劇が必要だった。日本人、好きなんですね、時代劇。
恐れ入ります。

第4シリーズ以降はモノクロVTRがメインになり、一部モノクロフィルムとのコンビネーションで作られたそうである。私の持っているDVDは、その第4シリーズ(’66年10月6日〜’67年3月30日放映。全26話)。
いつも通り、桔梗鋭之介(平幹二朗)桜京十郎(長門勇)橘一之進(加藤剛)の3人が大暴れしているけれど、今となっては、ブラウン管角丸フレームのスタンダード比率(4:3)の画面は寂しいね。仕方ないんだけど…。(※1)

NHKが「痛快時代劇」と肩書きをつけた『天下御免』は、総合テレビジョンで1971(S46)年10月8日から1972(S47)年9月29日まで、金曜日の20時(午後8時)より放映された全46話のテレビ時代劇。上にも書いたように“破天荒時代劇”の傑作だ。
というより、この路線、原作とか脚本家に相当な力量がなければ作品として成立させられない危険物だから、ジャンルと称するほどの本数はなく、小生の知る限り、実質2作品の希少ジャンルである。(※2)

その2作品とは、『天下御免』と『天下堂々』。
両作とも作者は、名脚本家・早坂暁さんだ。(※3)

『天下御免』は実在の人物、あの平賀源内を主人公にした伝説のドラマであることは広く知られている。当時、二十歳ごろの多感な青年だった私もどっぷりとハマったものである。
平賀源内(山口崇)・小野右京之介(林隆三)・稲葉小僧(津坂匡章(後の秋野太作))のトリオの活躍が痛快で、中でも林隆三の演じる「直情径行型」の右京之介が結構なお気に入りであった。
長崎遊学から江戸に帰り着いた源内一行が現代の銀座の歩行者天国を歩き、当時の都知事美濃部さんも出演し、最終回に至っては狭い日本はもうごめんと気球に乗ってフランス革命後のパリに脱出してしまうというなんともスーパーな内容で、時代劇でこんな作品が創れるんや〜と感嘆・感動したものである。
こちらも映像はほとんど残っていない。ゆえにソフト化は不可能で、もう記憶の中にしか存在しないのだと思うと残念至極としか言いようがないのだ。

文字が一杯になっちゃった。眠狂四郎、木枯し紋次郎、必殺仕置人は別にまとめるとして、最後に一言。

2024〜25年にかけての、米国TVドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』の大成功によって、「世界は時代劇を待っている」ってな大仰な物言いで “時代劇の復権”をラベリングしたいメディアの喧しい声を聴きつつ、「軽々しくはしゃぎなさんな」と思っている時代劇ファンはオイラだけではないだろう。
イントロで書いた「せっかく来てるのに勿体ない、ここはちゃんと考察分析せなあかんのとちゃう?」というのは真剣やで。
特にテレビ時代劇。往時のように『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』を復活させてほしいとは誰も願ってないと思うよ。
特にワシ、『三屋清左衛門残日録』のように単発で良いから、腰の座った作品を待っているのだ。

たくさん作らなくて良い。
じっくりと、丁寧に、面白いものを作って欲しい。

それがいち時代劇ファンとしての願いなのだ。

※1:余談だが、オイラがファンだった第1シリーズの一匹、柴左近(丹波哲郎)。第2シリーズ以降は橘一之進に変わるのだが、その第二シリーズが始まる半年前に劇場公開された松竹映画『三匹の侍』がある。こちらは、柴左近をメインにお話が展開されているよ。因みに、五社英雄さんの劇場映画の監督一作目ということである。

※2:よ〜く調べてないので大きな事は言えないが、これに続くものとしては、三谷幸喜氏の『竜馬におまかせ!』と『風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~』ぐらいしか思い出せない。

※3:2作品目の『天下堂々』は、NHK総合テレビジョンで1973(S48)年10月5日から1974(S49)年9月27日まで、金曜日の20時(午後8時)より放映された。全47回。