いつ頃からか、気持ちの昂揚具合をあらわすのに「テンション、上がるわ~」とか「テンション、高!」とかを使うようになった。
きっと、もう、30年ぐらいは経ってるだろうね。
私のiMac搭載の辞書『スーパー大辞林』にも、
_① 緊張。不安。 ② 物理学で、張力。
と従来の意味が紹介され、続いて
_③(主に若者語で)気分の盛り上がり。「―が高い」「―が下がる」
が、収録されている。
ことばというのは、時世時節で変化するものだそうである。
みんなの使いかたで、その意味も定義も変化するのだ。
つまり、誤用でもなんでも、みんなで使って定着させればOK、ということなんやろね。
「上がるわ~」「上がるわ~」っていってるうちに、追認されちゃって、日本語辞書サイトあたりにも用例が掲載され、英語教室のブログなどでは
_「 “テンション”は和製英語、英語の“tension”とは意味が違います。それぞれの…」
という表現で紹介されているのをみると、すっかり認知されちゃったんだぁ〜と納得するしかないんだよね。
私が耳にするようになったのは、上に書いたように、30年以上前のTVの中。
漫才師やお笑い芸人諸氏が「テンション、上がるわ~」といっているのを聞いたのが最初だったと記憶してる。
続いて「テンション、高!」の和製英単語版、「ハイテンション」。
こちらのはしりは、きっと、大黒摩季さん。
アニメ『SLAM DUNK』(93年10月~)のエンディングテーマ「あなただけ見つめてる」(123万枚の大ヒット)の歌詞、
_あなただけ見つめてる 出会った日から 今でもずっと
_あなたさえそばにいれば 他に何もいらない 夢の High Tension
もう何回聴いたことやら、これが広まったに違いない。
繰り返すけれど「tention」は「緊張」や「張力」を意味するコトバ。
だから、「上がる・下がる」や「高い・低い」ではなく、「強い・弱い」や「きつい・ゆるい」をこれからも使っていこうと思う。
最後に、あくまでも昂揚表現に「上がる・下がる」を使いたい人には、ボルテージ(=Voltage)をお勧めしておこう。
こちらは“電圧”だから誤用を指摘されることはない。
えっ、みんなが使ってないから嫌やって。仕方ないな~。