続・続 ふるさとの映画館

ふるさとの映画館。残るもう一つ、ヤマトカンのお話。
こちらでの鑑賞の記憶、いやいや、体験は、やっぱり、ゴジラ。
なんちゅうても東宝の特撮映画がいちばん!

ゴジラシリーズ第三作『キングコング対ゴジラ』、『モスラ』(※1)、そして『モスラ対ゴジラ』。
完全に怪獣映画の虜になった。
さらにSFモンの『妖星ゴラス』(※2)と『マタンゴ』。

『ゴラス』の地球の軌道をずらす設定は、当時(オイラは小5のガキンチョ)から、ちょっとしんどいな~と小首をかしげながら観ていたのだけれど、撮影に入る前、監督と助監督は、100%の与太話にならぬよう、東京大学理学部天文学科へ通い、学者さんとともに「条件が見合えば、あってもおかしくない」と思える程度の理屈と計算=「SF考証」に努めていたという話を聞いたとき、SFはやっぱり“良いな”と思った。
魔法でなんでも叶ってしまう(設定が許される)「ファンタジー」との差はこの“マインド”のある無しだろう。
そして『マタンゴ』。本作に無粋な感想は不要、世界が認めるカルト映画の大傑作だ。
少年時代、映画では東宝、漫画では手塚&横山作品によって、私のSF好きは育まれ、スクスクと、いやむくむくとマタンゴのように膨張していったのであります

キングコング対ゴジラ:ポスター
モスラ:ポスター
モスラ対ゴジラ:ポスター
出典:Wikimedia Commons(3点共)

もうひとつのベクトル、アクション映画好きを刺激、発芽させたのも、こちらの館での日活体験。
そう、渡り鳥シリーズです。
『赤い夕陽の渡り鳥』、『大草原の渡り鳥』、『波濤を越える渡り鳥』。
多分、この3本、観ていると思う。

主人公が、流れ着いた土地でヒロインと出会い、問題に遭遇し、暗躍する黒幕を懲らしめ、新たに旅立つというプロットが、テンプレート化されており、毎回安心して楽しめる、エンターテインメントの王道作品である。

所と役は変われども、ヒロインはずっと浅丘ルリ子で、いっつも現れる最初は敵方の用心棒で最後は一緒に戦う凄腕の遊び人みたいな野郎が宍戸錠。
こいつとアキラが、ダイスやカードでやりあい、ハジキの腕を競う。主人公はアキラだからエースのジョーは、いつもちょっと譲るというか負ける展開。

何度か観て、錠さんにも親近感を抱くようになってるもんだから、シリーズを離れ、他作で主演していると、そちらもしっかりと応援するようになるのでありました(1961年:『ノサップの銃(ガン)』など)。

付記すると、『波濤を越える…』は、シリーズ第六作の海外ロケ作品だったのだが、どこでどうスイッチが入ったのか、エンディングに流れた「ブンガワンソロォ~清き流れェ~」の歌い出しの部分だけをずっと覚えていた。
この一文を書くにあたって、本当にそんな歌が流れていたのかどうか、気になってググってみたら、日活のHPの当作品のページに「主題歌=コロムビア・レコード「アキラのブンガワンソロ」 作詞:西沢爽 補作曲:狛林正一 唄:小林旭」としっかりと書かれていた。
62年ぶりに、自身の記憶が、間違ってなかったと確認できた次第である。

時代劇は「ラッキィ」、SFとアクションは「ヤマトカン」。
テレビの普及率90%を迎える直前、60年台前半の話である。

※1:『モスラ』の公開は ’61年7月30日(小4の夏)。『キングコング対ゴジラ』の公開は 翌年の ’62年8月11日。ということは、モスラを先に見ていたのか。それとも、ゴジラの情報を他から得ていたのか(アンギラスは知っていたからね)。今となってはおぼろだけれど、小生の記憶列では「ゴジラ」が必ず先にくるのです。

※2:『妖星ゴラス』は ’62年3月21日に公開された東宝特撮映画。
『マタンゴ』は ’63年8月11日公開の特撮ホラー映画。同時上映作品はなんと『ハワイの若大将』とある。(記憶にないけど。この2本立ての方が、むしろ雑文向きじゃないのと思ってしまう面白い組み合わせだね)