月刊少年漫画誌の記憶_1

小生がマンガを本格的に読み始めたのは、1960年、9歳・小三の頃と記憶している。
前年3月に創刊された児童向け週刊誌の激震は、私の行きつけの書店にはそれほど現れておらず、少年向け・少女向け月刊誌が平積みで店頭を飾っていた。
影響が先に表れたのは、貸本漫画界で、この年をピークに急激に衰退を始めるのだが、それはまた別の機会に。

さて、店頭にあった少年マンガ雑誌で記憶に残っているのは、6誌(※1)
私の中のランキング順に記すと、「少年」「少年ブック」「少年画報」「冒険王」「まんが王」「ぼくら」となる。

「少年」は、光文社が発行元。創刊は、1946年(昭和21年)11月。
私が読んでいた頃は、手塚治虫の『鉄腕アトム』横山光輝の『鉄人28号』の超強力2本柱に加え、チャンバラアクション・堀江卓の『矢車剣之助』(57年8月号~)、わちさんぺい「ナガシマくん』・藤子不二雄『シルバークロス』(59年~)、61年からは白土三平の『サスケ』、62年からは関谷ひさしの熱血学園スポーツコメディの傑作『ストップ!にいちゃん』と、堂々の連載陣で正にナンバー1少年誌であった。

筆者が当時夢中になっていた石森章太郎(※2)も、『秘境三千キロ』(’61年)『少年同盟』(’62年)『メゾンZ』(’66年1~10月号)を連載している。
なかでも『新・黒い風』(’66年11月号~)は、石森タッチが今まさにピークを迎えようとしていた時期の作品で、コマ割りも画自体も見事な仕上がりである(※3)

当時の少年月刊誌は“少年向け総合誌”でもあったから、読み物記事やグラビアページもあり、図解シリーズ「○○の秘密」といった特集記事が毎号あって、とりわけ覚えているのが「完全図解・007の秘密兵器」(正確なタイトルは覚えていないので、今つけた)。
翌66年正月公開作品であるシリーズ第四作『007/サンダーボール作戦』に登場するメカ&アイテムの紹介記事を中心に、第一作から第三作までの全作の秘密兵器(なんという蠱惑の響き!)も網羅されていて興奮したのを覚えている。
この記事によって、私の007好きが幕を開けたようなものである。

65~66年以外に「少年」を定期購読していた記憶はなく、それ以前の記憶はすべて当時親しくしていたTくんの家で読ませてもらった時のものと、書店店頭での“ただ読み”によるもの思われる。

この稿、続く。

※1:月刊少年漫画誌の6誌:上記の6誌とは別に「日の丸」という集英社から発行されていた月刊誌があったのだが、私の記憶帳にはほとんど浮かんでこない。Wikipediaなどで検索すると、掲載作品名に、さいころコロ助(益子かつみ)・ナンバー7(手塚治虫)・ララミー牧場(松本あきら)・少年ロケット部隊(横山光輝)・テレビ小僧(石森章太郎)が記載されている。これらの作品は、何度か眺めた記憶はあるものの、誌名の方は欠落している。

※2:石森章太郎さんが、「石ノ森 章太郎」と改名されたのは1985年(昭和60年)のこと。当サイトでは、他の記事も含め、すべての石ノ森作品は、初出(掲載)時の作者名で通させていただくこととする。

※3:1966年。小生が、本来のサイボーグ009の完結編と考えている長編『地下帝国ヨミ編』(少年マガジン連載)が描かれたのがこの年である。

Pixabayからの鉄人28号の写真
JR新長田駅南側、若松公園内に設置されている鉄人28号のモニュメント。
撮影者は、kazuoという方でPixabayからおろさせてもらった画像。