My favorite JIDAGEKI on TV を語るなら、やはり口切りはこれやと思う。
日本初本格テレビ時代劇、『三匹の侍』だろうね。
本格時代劇? その、本格というのは何のこっちゃ?
東宝映画・『用心棒』が公開されたのが1961年のこと。
黒澤明監督が同作で取り入れたのが、いわゆる「リアルな殺陣(たて)」。
刀で人を斬る音=斬殺音や、残酷な描写=腕を斬り落す、一人につき2回斬る等々を取り入れ、従来の時代劇映画の「歌舞伎的な立ち回り」を廃した演出は時代劇を一変させた。
本格時代劇とは、本物のように思える殺陣を取り入れた時代劇をいう。
『用心棒』以後そうなった!―とおいらは考えている。
「歌舞伎的な立ち回り」を採用していると当然のことながら、お話=ドラマ部分も限界が生じ、理不尽な封建体制に懊悩する下級武士や庶民などは描けない。手法は内容をも左右するのだ。
これ、創作物の原理。「本格」とはそういうことなのだ。(自説やけどね)
その『用心棒』にさらに上乗せするかのごとく、刀を振りかざした時の風切り音、刃と刃のぶつかる金属音、人を斬った時のヴァスッという斬殺音、今や当たり前になった時代劇の効果音を次々と開発・導入した―しかもテレビに―のが、当時フジテレビのディレクターだった五社英雄さんだ。
作品名は『三匹の侍』。
主人公はそれぞれ訳ありの浪人三人、悪役はどこかの藩の代官やそれと結託する商人&博徒、あるいは幕府直轄の八州廻りかその部下といった連中。で、そいつらの企み事を主人公の三匹が潰すのがパターン。そしてクライマックスに用意されるのが三匹三様のリアルな殺陣。かっこいい!
主人公の三匹は決して権力側にはつかない。この辺りがやはり“60年代”だと思うのだ。
『三匹の侍』は、1963年(S38)から1969年(S44)にかけてフジテレビ系列で毎週木曜日20時から20時56分に放映され、最高視聴率は42パーセントを記録したという。6シリーズ・全157話が作られた超ヒット作だ。
五社英雄さんが原作・プロデューサー・演出と大車輪の活躍で一気に名を上げた作品で、五社さんを知ったのも、脚本家の柴英三郎さんに注目し始めたのも本作からだった。
驚くのは、第3シリーズまでの制作体制。
当時はVTR装置の普及始まりの時代。特にテープ代が高かったので、生放送を基本に一部モノクロフィルムおよびVTR併用という形態で放送されていたそうである。
そうまでして、番組編成に時代劇が必要だった。日本人、好きなんですね、時代劇。
恐れ入ります。
第4シリーズ以降はモノクロVTRがメインになり、一部モノクロフィルムとのコンビネーションで作られたそうである。私の持っているDVDは、その第4シリーズ(’66年10月6日〜’67年3月30日放映。全26話)。
いつも通り、桔梗鋭之介(平幹二朗)桜京十郎(長門勇)橘一之進(加藤剛)の3人が大暴れしているけれど、今となっては、ブラウン管角丸フレームのスタンダード比率(4:3)の画面は寂しいね。仕方ないんだけど…。
余談めくけど、オイラがファンだった第1シリーズの一匹、柴左近(丹波哲郎)。第2シリーズ以降は橘一之進に変わるのだが、その第2シリーズが始まる半年前に劇場公開された松竹映画『三匹の侍』がある。こちらは、柴左近をメインにお話が展開されているらしい。が、小生は未見、残念至極である。
因みに、同作は五社さんの劇場映画の監督一作目ということで、『三匹の侍』は五社英雄を劇場映画監督に押し上げた作品となったわけだ。
五社さんは、その後フジTV在籍のまま、映画作品=時代劇を監督されている。
’66年に東映で『牙狼之介』(私 この映画好きなんです♥)、フジテレビ製作/東宝配給で『御用金』(’69年)、フジテレビ+勝プロダクション製作/大映配給で『人斬り』(私 この映画も大好きです♥)とヒットを飛ばしておられる。70年代後半には『雲霧仁左衛門』『闇の狩人』…健在だ。
80年代にはいると、『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』『櫂』『極道の妻たち』と女性が主人公の映画が中心となったが、骨太・反骨のキャラクター達は、五社ワールドの住人であることに変わりはない。
五社英雄さん、生涯にわたり、アウトローを中心にした地べた目線でエンターテインメントを追求した見事な映画バカである。
最晩年、体調悪化で入院している時にも『三匹の侍』のリメイクを企画していたそうだ。(※1)
三匹のキャスティングは、渡辺謙、本木雅弘、竹中直人にほぼ決まりだったけれど、果たされぬまま永眠されたということである。

※1:Wikipediaの「五社英雄」のページの脚注[19]に「春日太一『鬼才 五社英雄の生涯』文藝春秋〈文春新書1087〉」の著述内容を引用している趣旨の記述がある。

